アニメ『刀剣乱舞 廻』公式サイト

ーーTVシリーズの放送を通して、周りからの反響や、放送を終えられての感想を教えてください。

市川　まずは、ホッとしました。熟練したファンの方が多いコンテンツなので、どういった反応が来るのか不安な部分もあったのですが、好意的に受け止めてもらえたようで良かったです。
今回、他シリーズの『刀剣乱舞-花丸-』や『活撃 刀剣乱舞』と差別化するために、細かいパーツの描き込みも行いました。

ーー完全新作オリジナルとして制作される『々伝どうでん』ですが、今回のテーマや、物語を描く上で大切にされたポイントを教えてください。

市川　刀剣男士たちの戦う姿を魅力的に描くのはもちろんなのですが、歴史ものとしての要素も強いストーリーになっているので、「こういう歴史があったんだ」「ここで武将たちはこういうことを考えていたんだ」と勉強になる部分を加えました。

内容に関しては、アニメ『虚伝』の前日譚なので、視聴者に「こういう葛藤があってからの物語だったんだな」としっかり繋がるように意識しました。
本作を見てからまたテレビシリーズを見てもらうと、不動行光に対して何故あんな言動・行動を取ったのかが見えて来て、よりキャラクターの感情の解像度が上がると思います。

ーー制作していて難しいと感じられた部分や、手応えを感じた部分はどのようなところでしょうか。

市川　声優さんたちの演技の細かいニュアンスを表現するのが難しかったです。舞台だと空気で悲しみや怒りなどの感情を伝えられるのですが、アニメだと音響や絵を使って、役者さんの出す感情の雰囲気を表現しなくてはならない。いかに遜色なく伝えるかということに苦労しました。

逆に手応えを感じたのは、“アニメならでは”の表現ができたこと。特に戦闘シーンですね。
“リアル”が舞台の魅力ならば、現実ではできないことを表現できることがアニメの魅力。
どちらが上か下かではないですが、アニメの特徴的なところを見せられたと実感しています。

ーー今回出陣する6振りのチーム感はいかがでしたか？

市川　アニメ『虚伝』では物語を不動が引っ掻き回していたので、そういう意味では「動かしやすさ」はあったかもしれないです。
今回の6人はみんな黙々としていて、任務をきちんと遂行してくれる6人でした。

ーー注目してほしいキャラクターはどの刀剣男士でしょうか。

市川　今回はやはり長谷部ですね。以前の持ち主である黒田官兵衛との関わることになるので、1番心の動くキャラクターなのかなと思います。山姥切との関係もそうです。
不器用なキャラクターだと思ってるので、応援したいという気持ちがあっても、それをどうしても怒ったような感情で表現してしまう。テレビシリーズだと不動に対してそうでしたよね。そういう不器用さの奥に優しさが見えるところが長谷部の魅力だと思っているので、ぜひ注目してほしいです。

ーー『々伝どうでん』の見どころや、演出でこだわられたポイントを教えてください。

市川　先ほど「（歴史の）勉強になる部分を加えた」と言いましたが、こだわった部分もそこになります。豊臣秀吉と官兵衛のやり取りが多いのですが、ただの会話にならないように「どういう経緯があり、なぜこんなことが起こったのか」と具体的な解説も入れて、観客にわかってもらえるような作りにしました。『刀剣乱舞』という作品ももちろんですが、歴史そのものを楽しんでほしいです。

ーー公開を楽しみにしているファンに向けてのメッセージをお願いします。

市川　散りばめた伏線が多過ぎて、ぜひ続きも描きたいなと思っています。「舞台『刀剣乱舞』虚伝 燃ゆる本能寺」を見ていただくと回収できる部分もあるんですけどね。
アニメならではの描写で感じられるものもあると思うので。スタッフ一同、意欲的に取り組んでいますので、応援よろしくお願いします。